乾癬(かんせん)は、皮膚に赤く盛り上がった斑点(紅斑)が現れ、その上に銀白色のかさぶた(鱗屑:りんせつ)が付着するという特徴的な皮膚疾患です。慢性的に繰り返す炎症性の疾患で、全身のどこにでも発症しますが、頭部・肘・膝・腰回りに好発します。
日本では人口の約0.1〜0.3%が乾癬を患っていると言われており、欧米では2〜3%と比較的多い疾患です。感染症ではないため、人から人へうつることはありません。
乾癬の主な症状
- 紅斑(赤みのある盛り上がり):境界がはっきりしており、周囲との区別がつきやすい。
- 鱗屑(銀白色のかさぶた):表面に白い皮がはがれ落ちるような状態が特徴。
- かゆみ:アトピーほど強くない場合もあるが、かゆみを伴うことが多い。
- 爪の変形:爪がデコボコになる・爪が厚くなる「爪乾癬」が約半数に見られる。
- 関節症状:一部の患者では関節の痛みや腫れを伴う「乾癬性関節炎」が起こる。
乾癬の原因とメカニズム
乾癬の根本的な原因は免疫系の異常です。本来、体を守るために働くT細胞が皮膚に対して誤った攻撃を行い、皮膚の細胞(ケラチノサイト)が通常の約10倍の速さで増殖します。この過剰な細胞増殖により、成熟していない皮膚細胞が蓄積して鱗屑となります。
悪化要因
- ストレス・過労・睡眠不足
- 感染症(特に溶連菌感染後に悪化することがある)
- 過度のアルコール摂取・喫煙
- 特定の薬(β遮断薬・リチウム・ACE阻害薬など)
- 皮膚への物理的な刺激(ケブネル現象)
乾癬とアトピー性皮膚炎の違い
| 比較項目 | 乾癬 | アトピー性皮膚炎 |
|---|---|---|
| 発症年齢 | 20〜40代に多い(小児も) | 乳幼児期が多い |
| 外見 | 銀白色の鱗屑を伴う紅斑 | ジクジクした湿疹・乾燥 |
| かゆみ | 中等度(アトピーより少ない傾向) | 非常に強いかゆみ |
| 好発部位 | 頭皮・肘・膝・腰 | 顔・首・肘の内側・膝の裏 |
| アレルギーとの関係 | 直接的な関係は薄い | IgEアレルギーが関与 |
| 免疫の関与 | 主にTh17系の免疫異常 | 主にTh2系の免疫異常 |
乾癬の治療法
外用療法
- 外用ステロイド薬:炎症を抑える基本的な治療
- ビタミンD3外用薬:皮膚細胞の過剰増殖を抑制する。ステロイドとの合剤も存在。
光線療法(フォトセラピー)
紫外線(UVB・PUVA)を患部に照射することで免疫反応を抑制し、皮膚の過剰増殖を抑えます。中等度以上の患者に有効とされています。
全身療法・生物学的製剤
- メトトレキサート・シクロスポリン:免疫を抑制する内服薬。重症例に使用。
- 生物学的製剤:TNF-α・IL-17・IL-23などの炎症性サイトカインをブロックする注射薬。中〜重症の乾癬に劇的な効果を示すことがある。
まとめ
乾癬は慢性疾患ですが、現在は生物学的製剤をはじめとする有効な治療法が増えており、適切な治療により症状をコントロールできる可能性が大きく広がっています。「乾癬かな?」と思ったら、早めに皮膚科を受診し、正確な診断と治療方針を立てることが大切です。
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